6月19日18時まで☆The Terminal KYOTOで開催中!

展覧会「ファルマコン 新生への捧げもの」開催中。会期中休みなし、6月19日まで9時ー18時までThe Terminal KYOTO会場ウェブサイト)にてご覧いただけます。

展覧会の楽しみ方:
♫ 会場に到着すると、
 フロリアン・ガデンさんの《oe》が皆様をお出迎えします!2メートル×4メートルの巨大な生物彫刻は必見です。
♫ 玄関を入ったところで見上げてください。
 西脇直毅さんの長大作品《意識的な呼吸》がなんと皆さんの頭上に!!!本作品初披露、かなり近接でご覧いただけます。
♫ 喫茶スペースを超えてお庭の方までお進みください!
 ジェレミー・セガールがフランスから送ってきたパンドラの箱から…何かが漏れ出しています!
♫ 物販コーナーもぜひご覧ください!
 小林玉雨さんにデザインいただいたファルマコン連鎖/反応(PCR)展カタログ販売中です!

♫ 二階への階段をお気を付けて登ってください
 入江早耶さんの百体の消しカス魔像が勢揃いしています。疫病終息の祈りをお見逃しなく!
♫ 窓からの後光に負けじと君臨しているのは、
 チラシやプログラムの表紙でお馴染みの《arbre-monde》(フロリアン・ガデンさん)!どうぞ間近でご覧ください。
♫ 二階には少し隠れ家のようなスペースが。
 ベルリンからご参加の梶村昌世さんの影絵絵本は暗闇を懐中電灯で照らしながら物語を明るみに出す仕組みです!
♫ 幾何学的・物理学的着想が溢れる福島陽子さんの世界は、五連の砂時計、三連の布絵画、彫刻群… 充実したインスタレーションをたっぷりお楽しみください。

♫ 地下室もお見逃しなく!地下防空壕は二つあります。
 一番奥までお進みいただくと、堀 園実さんの粘土による浜辺の風景《なみうちぎわの協和音》があります。
♫ 手前の防空壕には、《母音廻し、または遠隔音響合成のための五芒星》。iPadを手に取っていただくと部屋の中心に置かれて鈴と木柾を奏でる奇妙な人形の周りを動き回るカラフルなオブジェクトをご覧いただけます。この部屋の様子は会期中絶えずライブ配信されています。

さて、どうかお見逃しのないよう、ご高覧いただけますのを楽しみにしております!

★★★出展作品『母音廻し、または遠隔音響合成のための五芒星』(/Passing vowels or Pentagram for remote sound synthesis by 三輪眞弘+前田真二郎+佐近田展康)は、遠隔地で作品にご参加いただけます。以下のサイトから、ご自身のPCで遠隔音響合成いただくためのソフトウェアをダウンロードしてください!未曾有の〈配信芸術〉にご参加ください!!!
ソフトウェアダウンロードはこちら:http://formantbros.jp/news/passingvowelssoftware/?fbclid=IwAR0BVIfd9OnblbrM1hzYiUJyG4EZJu-_6M4CXNLLwPJtXAys5og5gasZj4k

★オンラインレクチャーシリーズ、残すところ、6月11日14時ー、6月19日14時ー(現地、YouTube配信あり)です。Zoom参加をご希望の方は、参加申込フォームよりお願いいたします。現地開催の19日は、お近くの方は奮ってお越しください。三輪眞弘さん・前田真二郎さんをゲストにお迎えします。

★クロージングパーティーを最終日16時よりささやかながら行う予定です。お近くの方はお越しください。

「新生への捧げもの」5月28日より開幕!毒と薬をともに意味することば「ファルマコン」には、捧げものという意味もある。「捧げる」とは所有を諦め、過去を抱きしめ未来に想いを託し、死者やこれから生まれる者たちを心から配慮すること。そのような関係を通じてこそ、私たちの生は意味を持ち、私たちは幸せに生きられる。アートは、私たちをそこに導く道標である。

会場:The Terminal KYOTO
〒600-8445 京都府京都市下京区岩戸山町424
日時:2022年5月28日―6月19日 9時―18時入場料:300 円(障害者手帳をお持ちの方とその付き添いの方、高校生以下無料)
主催:art-sensibilisation,協賛:京都芸術大学文明哲学研究所
協力:The Terminal KYOTO、ギャルリー宮脇
助成:公益財団法人朝日新聞文化財団
キュレーター:大久保美紀
アドバイザー:吉岡洋
インストーラー:池田精堂
出展作家:入江早耶、大久保美紀、梶村昌世+福島陽子、フロリアン・ガデン、ジェレミー・セガール、西脇直毅、堀園実、三輪眞弘+前田真二郎+佐近田展康

※展覧会に出展されている展示作品は一部を除いて販売をしています。個別作品について価格等の詳細はスタッフにお尋ねください。

※会場一階には物販コーナーを設置しています。出展作家作品、作品集、展覧会カタログ、ハガキ、ポスター等もございますのでぜひご覧ください。詳細をご希望の方はお問い合わせください。

開幕迫る!!!5月28日スタート

「新生への捧げもの」5月28日より開幕!

毒と薬をともに意味することば「ファルマコン」には、捧げものという意味もある。「捧げる」とは所有を諦め、過去を抱きしめ未来に想いを託し、死者やこれから生まれる者たちを心から配慮すること。そのような関係を通じてこそ、私たちの生は意味を持ち、私たちは幸せに生きられる。アートは、私たちをそこに導く道標である。

会場:The Terminal KYOTO  〒600-8445 京都府京都市下京区岩戸山町424
日時:2022年5月28日―6月19日 9時―18時
入場料:300 円(障害者手帳をお持ちの方とその付き添いの方、高校生以下無料)
主催:art-sensibilisation,協賛:京都芸術大学文明哲学研究所協力:The Terminal KYOTO、ギャルリー宮脇助成:公益財団法人朝日新聞文化財団キュレーター:大久保美紀
アドバイザー:吉岡洋
インストーラー:池田精堂
出展作家:入江早耶、大久保美紀、梶村昌世+福島陽子、フロリアン・ガデン、ジェレミー・セガール、西脇直毅、堀園実、三輪眞弘+前田真二郎+佐近田展康

出展作品『母音廻し、または遠隔音響合成のための五芒星』(/Passing vowels or Pentagram for remote sound synthesis by 三輪眞弘+前田真二郎+佐近田展康)は、遠隔地で鑑賞いただけます。以下のサイトから、ご自身のPCで遠隔音響合成いただくためのソフトウェアをダウンロードできるようになります!未曾有の〈配信芸術〉にご参加ください!!!
LINK:IAMAS Time-Based Media Project

「新生への捧げもの」5月28日より開幕!

「ファルマコン 新生への捧げもの」

毒と薬をともに意味することば「ファルマコン」には、捧げものという意味もある。「捧げる」とは所有を諦め、過去を抱きしめ未来に想いを託し、死者やこれから生まれる者たちを心から配慮すること。そのような関係を通じてこそ、私たちの生は意味を持ち、私たちは幸せに生きられる。アートは、私たちをそこに導く道標である。

会場:The Terminal KYOTO  〒600-8445 京都府京都市下京区岩戸山町424
日時:2022年5月28日―6月19日 9時―18時
入場料:300 円(障害者手帳をお持ちの方とその付き添いの方、高校生以下無料)
主催:art-sensibilisation,
協賛:京都芸術大学文明哲学研究所
協力:The Terminal KYOTO、ギャルリー宮脇
助成:公益財団法人朝日新聞文化財団

キュレーター:大久保美紀
アドバイザー:吉岡洋
インストーラー:池田精堂
出展作家:入江早耶、大久保美紀、梶村昌世+福島陽子、フロリアン・ガデン、ジェレミー・セガール、西脇直毅、堀園実、三輪眞弘+前田真二郎+佐近田展康

展覧会について
私たちの惑星は、今なお混乱の最中にあるのだろうか?パンデミックは、マスメディアやインターネット上で不安や恐怖を拡散するインフォデミックを引き起こし、私たちは日常生活のあらゆる点で、なるほど深刻な犠牲を払いつづけている。ウイルスという不可視の敵の撲滅という大義名分のもとに横行する非科学的な施策や政策は、経済破綻と格差社会の深刻化を招き、翻って現行の社会システムの脆弱さを暴露したにも関わらず、私たちは、他者そのものが忌み嫌うべき病原体であるかのような洗脳を受け入れ、互いに連帯して助け合うどころか、互いを警戒して制裁し合う監視社会の強化に自ら加担してしまっている。所有に基づく現行の資本主義の行き詰まりや、民主主義の欺瞞が叫ばれて久しいにも関わらず、そのような問題を「積極的に思考する」ということに関して私たちが去勢されている現状にもあまりに無自覚ではないだろうか。
犠牲の深刻さを最も象徴的に示すのは、人間が人間であるために最も大切な死者への尊敬の表現や、集団的礼拝を含む儀式が無力化されたことである。死者を思いやり、これから生まれてくる者に大切なものを投げかける行為は、つまり「捧げもの」のことである。「捧げもの」の存在しない、つまり、今現世を生きていることのみに執着し、死者たちへの配慮も、未来に託す希望もない世界に広がるのは、さぞ絶望的で不毛な風景だろう。
だが、私たちはなお幸せに生きられる。あまりに大きな犠牲を乗り越え、新しい生を模索する努力をすることができる。私たちの生が意味を持つのは、過去を思いやり未来の人々に希望を託す、その関係を通じてこそなのだ。そして、アートは、そうしたつながりを感じさせる手がかりとなる。物事の本質的両面性に着目する「ファルマコン」という言葉には、一見相反する「薬」と「毒」という意味に加え、「生贄(捧げもの)」という意味がある。本展覧会では、異なる芸術的アプローチを通じて、新たな生を積極的に思考する試みを提案する。
(キュレータ 大久保美紀)

展覧会ファルマコン2021-死生への捧げもの-

クリスマスは、みつしまへ!

展覧会ファルマコン2021 「死生への捧げもの」

プレスリリースできました! ダウンロードはコチラ→Pharmakon21_presse

会場:アトリエみつしま 603-8215 京都市北区紫野下門前町44
   (地下鉄烏丸線「北大路」駅から徒歩15分、市バス「大徳寺前」から徒歩5分)
日時:2021年12月21日〜12月25日 11時〜18時
入場料:500円 (障害者手帳をお持ちの方と付き添いの方無料、高校生以下無料)
*ご来場いただいた方には、毒の研究冊子『ポワゾン・ルージュ』と吉岡洋直感断想集『ミニマ・エステティカ』をプレゼント!
主催:art-sensibilisation
協力:アトリエみつしま、ギャルリー宮脇
文化庁「Art for the future !」補助対象事業

キュレーター:大久保美紀
出展作家:入江早耶、フロリアン・ガデン、ジェレミー・セガール、西脇直毅、堀園実、三輪眞弘+前田真二郎

関連イベント:
思考のワークショップ:特別レクチャー
12月22日 14時―16時「〈恩寵〉をめぐって」(出演:吉岡洋・加藤有希子)
12月23日 14時−16時「資本主義のファルマコン的読解」(出演:吉岡洋)(ディスカッサント:梶村昌世、福島陽子、フロリアン・ガデン、大久保美紀(通訳))

予約不要。どなたでもご参加いただけます。
ズーム参加をご希望の方は、大久保美紀(mimi.okb(@)Gmail)までご連絡ください。

NEW!!!!!! Youtube配信もあります!!!

「死生への捧げもの」展 思考のワークショップ:特別レクチャー1
「〈恩寵〉をめぐって」
出演者:吉岡洋、加藤有希子
日時:2021年12月22日 14時~
「死生への捧げもの」展 思考のワークショップ:特別レクチャー2
「資本主義のファルマコン的読解」
出演者:吉岡洋ほか
日時:2021年12月23日 14時~

12月22日16時―18時 オープニングパーティー
12月25日16時―18時 クロージングパーティー

展覧会について:

「コロナ禍」- 2020年に始まったエピデミックは、人類を翻弄する未曾有の大厄災となり、人間世界を変貌させ、その日常生活に深刻な犠牲を強い続ける。非常時の権力はメディアと共謀し、人々の恐怖を煽り、不可視の「敵」を遮断するという大義名分のため、社会・経済・文化・宗教、あらゆる領域にその支配を及す。富める者はますます富み、貧しい者はさらに貧しくなる。貧富の差は拡大し、少数派が細分化されて弱体化する。

COVID-19によるエピデミックでは、戦争・災害・かつてのエピデミックが人類史上一度も塞き止めることのできなかった人々の死者への尊敬の表現と神への集団的礼拝を含む儀式を無力化した。葬儀はオンライン化され、死者に最後の言葉をかける機会も、死者の亡骸と時間を共有する瞬間も失われる。人々は集うことを恐れ、他者を警戒する。我々が真に恐れているのは、ウイルス感染そのものより、風評被害に遭うことや、感染に関与することによって社会から糾弾され居場所を失うこと、あるいは、親族にも会えない孤独死の末に、ビニールの納体袋に詰め込まれて見知らぬ人の手によってあたかも何か恥ずべき存在として沈黙のなか葬られることである。あるいはまた、間もなく起こるかもしれない世界の激変に対する漠然とした不安が生み出した精神的高揚に由来する奇妙な祝祭的な盛り上がりが、逆説的にも世界を包み込みつつある。

「コロナ禍」は、新たなエコロジーの創設と共有が今日の我々の切迫した課題であることを明らかにする。フランスの精神科医、フェリックス・ガタリは『三つのエコロジー』において環境・社会・精神という三つのエコロジー(ガタリはこれをエコロジー+フィロソフィーの概念である「エコゾフィー」と名付ける)の必要性を説いた。広大な中国の市場から突如伝播したとされるウイルスの人類におけるエピデミック化を巡って、環境のエコロジーが問い直されるのは言うまでもないが、それが暴き出した脆弱で時代遅れの資本主義社会経済システムを根本から再考することなしに問題は解決しえない。さらには我々個人の精神のレベルで今後の世界におけるより良い生き方が共有されることなくして、事態の収束もその後の世界も見えてこない。私たちは抜本的な方法で生き方そのものを見直すべき局面に立っている。

本展覧会は、物事の本質的な両義的側面に着目する「ファルマコン」(薬=毒=生贄/犠牲)の概念を手がかりに、今日の私たちが無視することのできない状況としての「コロナ禍」(そして、その後の世界としての「ポストコロナ」)の世界をいかに生きて死ぬことができるのか、芸術を通じたアプローチによって導きうる新たなエコロジー哲学とはいかなる思想であるかを問う。

大久保美紀

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Pharmakon Chain Reaction 2020/ ファルマコン 連鎖/反応

変貌してしまった世界。恐怖を煽る言葉の増殖。不可視の〈敵〉を遮断すべく、犠牲にされる日常──アートはこの煉獄から脱する道を、私たちに示しうるだろうか?

展覧会 :Pharmakon Chain Reaction (「ファルマコン––連鎖/反応」)

会期:2020年12月8日〜12月25日 月曜休、火水木日12時〜19時、金土12時〜20時
オープニングパーティ:2020年12月8日16時〜20時
シンポジウム:2020年12 月19日14時〜18時
会場:アトリエみつしま 603-8215 京都市北区紫野下門前町44 地下鉄烏丸線「北大路」駅から徒歩15分、市バス「大徳寺前」から徒歩5分
参加作家:エロイーズ・イルベール、入江早耶、大久保美紀、加藤有希子×児玉幸子、フロリアン・ガデン、ジェレミー・セガール、谷原菜摘子、堀園実、福島陽子、古市牧子
キュレータ:大久保美紀
主催:吉岡洋・大久保美紀
共催:アトリエみつしま

展覧会概要
世界は新型コロナウイルス感染による未曾有の状況が続いている。社会に蔓延する感染の不安や恐怖を煽る言説により、ウイルスの存在はあたかも人類にとっての「敵」/「侵入者」/「テロリスト」として認識されている。私たちは、自己防衛のためウイルスを絶対的に遮断しようと他者との接触を徹底的に避け、生活を犠牲にし、日常はすっかり変容した。ソーシャル・ディスタンス、新たな枠組み。煽動された恐怖は連鎖反応を起こし、さらなる恐怖を生む。私たちは見えない敵を前に文字通り震撼し、途方に暮れる。
だが、生命の注目すべき挙動の一つに、細胞の自死として知られるアポトーシスや一部の免疫反応など、それが一見正反対に見える活動を同時に行って平衡を保つという営みがある。そもそも生命体は膜によって自己と外界を区別すると同時に、膜に空いた多数の孔を通じて外界との物質や情報のやり取りするおかげで生存している。ある個体とは、他の生命体と複雑な関係性(あるいは連鎖)の中に存在するのであり、そのことは生存時も死後も変わらない。このような生命の本質を無視し、ウイルスを撲滅すべき敵として完全な衛生を目指す思考は不可能であるばかりか危険ではないだろうか。
本展覧会「ファルマコン:連鎖/反応」では、今日の私たちの身体が置かれた状況―「毒を一方的に排除する志向」―を問題視する。薬と毒という両義的意味を持つ「ファルマコン」の概念は、物事がしばしば持っている両面性(陰と陽、毒と薬、メリットとデメリット、効用と副作用、さまざまな言葉で言い表される「ある側面」と「それと補完的である側面」に着目する。私たちが「毒」とみなす存在を根本的に排除しようとするとき、私たちは世界が相反するものの均衡で成り立ち、それらが単に調和するだけでなく時には複雑に絡み合って全体を形作っているという事実を忘れ、そのことにより自らを生きにくくしている。
ファルマコンの概念に基づく芸術的アプローチを通じて世界を再考することによって、生命をより直感的に捉え直すことができるだろうか。
大久保美紀(キュレータ)

展覧会ファルマコン 連鎖/反応 (Pharmakon Chain Reaction) プレスリリースvers.1以下からダウンロードいただけます。展覧会の見どころや出品作家について情報が満載です。
↓↓↓
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プレスリリース ファルマコン 生命のダイアローグ2019

展覧会「ファルマコン :生命のダイアローグ」

プレスリリース vers.2019/11/30できました。以下のリンクよりダウンロードしてください。

<毒>は私たちに何をもたらすのか?

ファルマコン  「生命のダイアローグ」 Pharmakon : Dialogue de la vie
2019.12.8-12.25 12:00-20:00
オープニング  12/8  17:00-20:00 ゲスト:中島智(芸術人類学者)
クロージング  12/25 16:00-20:00
シンポジウム 12/22 15:00-17:30 講師:エルキ・フータモ(UCLA教授)
場所:京都大学 稲森財団記念館3階中会議室
参加作家:フロリアン・ガデン、大久保美紀、ジェレミー・セガール
( Florian Gadenne, Miki Okubo, Jérémy Segard)
キュレータ:大久保美紀
主催:京都大学こころの未来研究センター 研究プロジェクト「現代社会における<毒>の重要性」(企画代表者:吉岡洋)
共催:ギャラリー8
GALLERY8 神戸市中央区海岸通9番地チャータードビル2.3F 078・392・2880

☆オープニングレセプション 2019.12.8 17:00−20:00
ぜひお越しください!お会いできるのを楽しみにしています。
ゲストとして芸術人類学者の中島智さんをお招きし、トークがあります!お楽しみに!

プレスリリース 20191130_compressed

florian gadenne/フロリアン・ガデン, drawing “oe” について 3

ようやく、ドローイングそのものについて見て行こう。

まずはガデンが簡潔にまとめたドローイングについてのテクストを引用する。

「oeは、DNAの二重螺旋構造を基盤に構成された生きた建造物であり、それ自身が異なる器官(ミクロオーガニズム、細胞内器官、ウイルス、バクテリアなど)によって構築されている。

一見すると二元論的であるこの構造は、いわゆる「健全な」器官からなる上部、「病的な」器官からなる下部という二つの主部分によって構成されている。上部は、ブリューゲルの描くバベルの塔を着想源とし、<良方>へ向かっての上昇を表す一方、下部は、ボッティチェリが描いたダントの地獄を参照している。

また、この<良>と<悪>という二元論的概念が入り混じる三つ目の部分、つまり上部下部構造が接触する境界面では、ファージのような食細胞、エキゾサイトーシス(分泌)、変性や突然変異といった異なる反応が見られる。病的器官はいわゆる「健全」なるものに刺激を与え、それらに何らかの変異をもたらす。

oeを通じて、私たちは、恒常的に変化する生命の表現の、矛盾的で複雑なダイアローグを目の当たりにするだろう。」(フロリアン・ガデン、ブログより)

さて、先に紹介した「バベルの塔的細胞」の二つのドローイングとこの三つ目のドローイングでは根本的な構造の違いがあり、それはこのoeにおいてはバベルの塔の基底部分を境に、天へ向かって上へ上へと伸びていく塔に相反するつくりである地獄への構造がちょうど反転するように組み合わされている点である。実は、この上と下の組み合わせによって、ガデンは生命のダイアローグという主題について、対になるものを描き出すためのストラクチャーを見つけ出している。「バベルの塔的細胞」においては上へ向かう生命の営みを描いたが、反転したストーリー(地獄)をoe において補っていくことになった。

上部構造であるバベルの塔は、ブリューゲルが描いた「バベルの塔」を参照しており、実は、cellule babélienneには50cm×60cmの初期作が存在し(写真)これをみると、バベルの塔的細胞が次第に、人工的な建造物の形態から離れていく前の、ブリューゲルの描いた塔からの直接的参照がはっきり見て取れる。この最初のドローイングにおいて、頂点を核とする構造はoeに等しいものの、核に行き着くまでの徐々に登っていく道の中に、ゴルジ体やミトコンドリア、液胞などの構造がその内部に組み込まれる形になっている。そして、最も地に近い部分と核へ向かう最後の細い道などは、階段状の構造や窓のような構造が見られ、非常に建築的である。

oeにおいて、この上部構造には何が描かれているだろうか。頂点の<卵>から伸びる8本の鎖は、その内側に健全な細胞構成物を含みながら螺旋状に降りてくる。それらは次第に、毛細血管のなかへ絡みとられてゆき、その毛細血管は次第に変容し、赤血球や白血球がときには破壊されたり、コレステロールに侵されたりしながら、第三のゾーン(天へ向かう塔と地獄への入口が出会う境界面)へと向かっていく。

下部構造である地獄は、ボッティチェリが描いた「地獄の見取り図」を参照している。「地獄の見取り図」は、時獄篇、煉獄篇、天獄篇の3部からなるダンテの「神曲」の挿絵としてボッティチェリが描いた作品であり、地獄は漏斗状の逆円錐構造をとっていて、地球の中心に向かう形で9つの異なる環に別れている。9つの異なる環は、それぞれ生前の罪によって人々が振り分けられ罰せられる世界となっている。9つの罪の種類は、1から順に、洗礼拒否、好色、大食、貪欲、憤り、異端、暴力、悪意、そして裏切り。ガデンのドローイングにおいては、上部構造において、DNAの二重螺旋が毛細血管に変化したのちに、再びそれらが集まって、太い束となり、それらが撚る形で下へ下へと降りていく。その撚られた構造の中には、複数の<病的な>細胞や微生物が複雑に絡み合いながら、うごめく。

このように、なるほど一見して、ドローイングは、天に向かう上部構造と地の中心へ落ちていく下部構造である「バベルの塔」と「地獄」が、中心でピタリと合わされた構成をとっている。

さて、oe は、この構成が示すように、表現するもののレベルで、果たして二元論的な思想を体現しているのだろうか。ガデンは、自身の作品についてのテクストで、この二元論的な、つまり<善>と<悪>の対立構造について、「一見すると二元的だが、実は矛盾的で複雑な生命の営み」と表現している。この、複雑さについて言及するため、次の記事では、上部構造と下部構造の出会う三つ目の部分、境界面について着目してみたい。

florian gadenne/フロリアン・ガデン, drawing “oe” について 2

oe について 2

作品oe dans l’oのロゴといったらいいだろうか、サインというべきだろうか。このシンプルでありながら多義的な記号はoe dans l’oの表すものをとても単純にしえている。ドローイングの複雑さに対して、この記号の簡潔さは面白いほどである。

まず、oe (dans l’o)というタイトルについて、ガデンのプロジェクト説明の記述の助けを借りて、読み解いてみよう。oe は二つのアルファベットから構成され、フランス語では日本語の母音「う」の舌の位置をキープしたまま「う」と「え」の間くらいの口のすぼめ具合で発音してみるといい感じのoeの音が出る。この母音は、合字の母音で、フランス語では古代ギリシャからの借用語に使われて来た。そう知って探してみるとどの単語が古代ギリシャ語からの借用語かわかって面白い。ガデンの説明に沿って例をあげてみると、例えば:

œcuménique »:全世界的な、普遍的な。インド・ヨーロッパ語やサンスクリット語における家族や家に相当し、ギリシャ語においては遺伝的に結ばれる部族と関係がある。

œil” :目、視覚器官。目のような形をしたあらゆるもの、たとえば動物の毛皮にある目玉のような模様や、孔雀の羽の模様、蕾や芽。

œuf” :卵、卵子。

œuvre” :作品。女性名詞として、具体的に行われた仕事(ergon)。錬金術の分野で男性名詞として用いられ、卑金属を金に完全変換する、あるいは賢者の石を想像する「大作業」を意味する。

fœtus” :胎児、出産、新生児、世代。ちなみにfeはインド・ヨーロッパ語で「乳を飲む」ことに関係がある。たとえば、fécond(多産), femme(女)に共通。

さて、oe (dans l’o)は、その構造の頂点に一つの卵子を持つ巨大で複雑な建造物である。卵子を取り巻くのは8つの精細胞で、それらは卵細胞から遠のくにしたがって次第にDNAの二重螺旋構造として翻訳される。錬金術において卵は宇宙の創造を象徴すると同時に金属の変質を意味する。<世界の卵>(oeuf du monde)、すなわちあらゆるものの起源はエジプト神話を含め世界の数多くの神話に登場する。

卵(oeuf) は成長して胎児(Foetus)となる。ドローイングoeの記号には明確に胎児(foetus)が据えられている。 またドローイングの頂点は、生命の起源としての<卵>(錬金術における世界の卵とも卵子とも取れる構造)が君臨している。(写真)

京都新聞11月24日朝刊-美術-「ファルマコンII」

京都新聞11月24日朝刊の美術欄に展覧会「ファルマコンII アート×毒×身体の不協的調和」について<「毒」の両義性改めて考える>(加須屋明子教授ご執筆記事)ということで掲載していただきました。
本展覧会、残すところ本日と明日、11時から19時まで(13-14時除く)開催しております。
本展覧会では現代社会において、見て見ぬ振りや避けて通ることのできない、食の安全や環境と身体の関係性、医療と私たちの関わりなど大切な問題について、「毒」の両義性をもう一度考え直してみることを通じて問題提起しています。
皆様にご覧いただき、ご意見をお伺いしたりお話ができますのを楽しみにしています。
どうぞ、お気軽にお立ち寄りください。
会場は、想念庵(左京区田中里ノ前町49-2)。京都大学界隈を少し北上いただき東大路通沿いから東に入ってすぐ、最寄りのバス停は飛鳥井町です。電車では叡山電鉄元田中駅か少し歩きますが出町柳が便利です。
ぜひお越しください!
(La traduction d’article en français en bas)

« Pharmakon » est un terme d’origine greque, désignant la double signification : poison et remède. Dans l’histoire humaine, nous avons découvert de nombreuses substances qui fonctionnent comme médicament dans l’usage approprié mais aussi qui peuvent causer un effet négatif, voire même poison dans l’usage à l’excès. Le poison n’est un simple élément à exclure, mais il joue souvent un rôle indispensable pour notre vie.

L’exposition « Pharmakon II – l’harmonie dissonante d’art/poison/corps » nous permet de refléchir sur cette nature ambiguë de poison. Conçue par Miki Okubo, curatrice-artiste, l’exposition montre aussi le travail de Jérémy Segard, florian gadenne et Akira Inumaru. Toute la durée de l’exposition, l’œuvre de florian gadenne intitulée « tour babélienne » continue à s’évoluer. Inspirée par « Tour de Babel » de Brugel et Inferno de Botticelli, la tour s’élevant vers le haut s’habille des organes, dit « sains » et celle descendant vers le bas habitée par des éléments « pathogéniques ». La zone de rencontre de ces deux derniers telles différentes activités de phages, sécrétions et mutations minutieusement et dynamiquement remplit la toile. Nous sommes également surpris par l’ensemble des images de microorganismes exposées dans son lieu de travail comme « atlas », ainsi que son univers.

Akira Inumaru, artiste basé à Rouen et Paris, présente la nouvelle série « Pharmakon » où avec une loupe distillant les rayons solaires, il brule des illustrations transcrites depuis l’encyclopédie des plantes médicinales édités au Moyen Age comme s’il juxtapose la lumière d’aujourd’hui sur celle du Moyen Age. Son travail montre une complexité visuelle – couches de papiers brulés, images des plantes couvertes par l’ombre de la racine.

Jérémy Segard, exposant une installation de textile usé, questionne sur l’excès de la stérilisation et le processus de la blanchisserie vus souvent dans les établissements médicaux. Il montre ainsi l’ensemble de dessins préparatoires concernant la question sur l’espace vert. Miki Okubo mettant en lumière l’acte de « manger », présente des pains faits à partir de la levure cultivée, c’est-à-dire, sans utiliser la levure industrielle. Elle nous invite à réfléchir à ce que nous mangeons, comment nous devons l’équilibrer, ainsi que ce qui est la nourriture qui peut être un remède ou un poison.

Chaque artiste joue sa propre poésie afin de déchiffrer un monde s’opposant – double signification qui s’échappant du discours dualisme, pour réussir à mieux percevoir notre monde basé sur une écologie complexe.

Akiko Kasuya, Professeur des Beaux-Arts de la ville de Kyoto
(traduction Miki Okubo, florian gadenne)

Pharmakon II/展覧会ファルマコンII いよいよラスト3日となりました!

皆様、いよいよラスト三日となりました、展覧会「ファルマコンII アート×毒×身体の不協的調和」@想念庵(京都市左京区田中里の前町49−2)
本日も作家在廊(大久保、フロリアン・ガデン)で19時まで開館しています。明日、明後日も11時−19時(13−14時を除く)皆様のお越しをお待ちしています。
公開制作の「バベルの塔的細胞3」インタラクションゾーンを超えて、地獄ゾーン入り、目が離せません。パンも随時増えています。どうか、足をお運びいただけましたら幸甚です。

クロージングの25日の午後は皆様にこれまで面倒を見ていただいた酵母を元にパンを焼いて試食します。お誘い合わせの上ぜひ、いらっしゃってください。

Last three days of our exhibition “Pharmakon II” @Sonen-an, Kyoto.
Please come to see us! The last day, Nov 25th in the afternoon, you will taste natural yeast breads (cultivated during the exhibition). Please join us.